日刊いーしず『まちの双眼鏡』は静岡のクリエイターブログになりました。
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2013年12月18日
第七回 たまには車から降りて、自転車に乗ったり歩いたりして小さな発見
時間が勝負の今の世の中、普段は目的地に行くまで車を走らせ、用件を済ませば帰ってしまう。そんな日々の一時でも、歩きや自転車等でゆっくりと移動してみると、こんなところにこんな景色があったのかという、身近な所に思いがけない発見があります。
朝比奈川(藤枝市岡部)にはいくつかの橋がかかっていてそれぞれが皆違った形をしています。色や飾りも違います。
山間地の方に行くと、農家住宅が残っていて木造建築が自然の中に溶け込んでいる風景が見られます。旧東海道岡部宿あたりには町家造りが残っていたりします。この辺の町家は繋がれた馬のために軒先が広くなっています。 焼津の浜通りには間口が狭く奥行きのある建物が割と残っていて、路地もあったりして昔の人々の生活を感じられるところです。ただ、どの街もそうですがどんどん建て替えが進み、統一性のない建物が建ち並び、いつかは漁港の町並みは消えていくのでしょう。
また焼津市の「花沢の里」(第四回で紹介)では、川に沿って狭い敷地で坂を石垣で宅地を造り街並み全体が自然と共存しています。石垣もよく見ると積み方がそれぞれ違っていたりします。
この地の石垣には、《野面積み》《打ち込み接ぎ》等が見られました。年代なのか予算の関係なのか、すべて同じ積み方ではありません。石垣は古く開墾した田んぼや畑でも見られます。
今まで何気なく通り過ぎていた景色の中に、ゆっくり目線を変えて通ってみるとたのしい発見があると思います。
朝比奈川(藤枝市岡部)にはいくつかの橋がかかっていてそれぞれが皆違った形をしています。色や飾りも違います。
山間地の方に行くと、農家住宅が残っていて木造建築が自然の中に溶け込んでいる風景が見られます。旧東海道岡部宿あたりには町家造りが残っていたりします。この辺の町家は繋がれた馬のために軒先が広くなっています。 焼津の浜通りには間口が狭く奥行きのある建物が割と残っていて、路地もあったりして昔の人々の生活を感じられるところです。ただ、どの街もそうですがどんどん建て替えが進み、統一性のない建物が建ち並び、いつかは漁港の町並みは消えていくのでしょう。
また焼津市の「花沢の里」(第四回で紹介)では、川に沿って狭い敷地で坂を石垣で宅地を造り街並み全体が自然と共存しています。石垣もよく見ると積み方がそれぞれ違っていたりします。
この地の石垣には、《野面積み》《打ち込み接ぎ》等が見られました。年代なのか予算の関係なのか、すべて同じ積み方ではありません。石垣は古く開墾した田んぼや畑でも見られます。
今まで何気なく通り過ぎていた景色の中に、ゆっくり目線を変えて通ってみるとたのしい発見があると思います。
Posted by 日刊いーしず at 12:00
2013年12月04日
第六回 自分の視点が変わることもまちづくりには大切
6~7年前頃から、島田市川根町のささま地区の地域づくりのお手伝いをしている。
笹間は島田市北部に位置する山村集落。美しい山や川があり、500人弱が居住する。地元経済は、お茶、しいたけなどの農林業で成り立っているが、市街地に30分程度という立地から、一部、兼業で市内へと働きに出かけている人たちもいる。
人口減少、少子高齢化の顕在的な課題、地域の生産物だけでは県内にある類似の農産物や加工品との差別化ができず地域活性が難しいといった課題、歴史や文化を活かしきれないといった課題などを抱えている。
こうした中、金谷の穴窯づくりワークショップで知り合った、陶芸家の道川さんとのつながりが大きかった。彼がもつ海外陶芸家ネットワークは、笹間を舞台にした「ささま国際陶芸フェスティバル」の要でもあり、地域活性化の良い機会でもあるからである。
そのため、地域にアートを取り込んだ「アート イン レジデンス」ができないか、考えていた。
いきなり地元に話をしても難しいので、「見せる化」を行った。道川さんの知人であり水彩画家であるイギリスのアイリーンさんがたまたま日本に来ていたのでお願いをして、地元の人と地域の魅力を探す水彩画ワークショップや、陶芸家神崎さんの陶芸ワークショップを開催した。その後、何人かの作家によるワークショップが行われ、地元の人たちも陶芸に慣れてきて、地域外に少しずつ広がりを見せている。
作家の作品を地域ブランド品として扱う実験も行い、地域にお金が落ちることを体験していただいた。
こうした背景と並行して、旧小学校、旧中学校の廃校利活用の話が持ち上がっていた。
旧小学校は、地元中心で何回かの意見交換ワークショップや食のメニュー作り、農業体験、農家体験、地域歩きなどグリンツーリズムなどを視野に入れた取り組みを行い、宿泊型の山村都市交流センターとして蘇った。現在、都市と山村の交流拠点として機能している。
旧中学校はまだ手つかずだが、「陶芸と木工クラフト」をテーマにした話し合いを継続している。芸術家だけでなく、地域のお年寄りの居場所にもなり、手を使うことで創造性、頭の活性化や生きがいにも繋がるからである。これらについても、木工ワークショップ、地元のNPOや企業組合が竹を使用した体験ワークショップを開催し、外部の人への教え方や交流を楽しんでいる。
こうして、人との関係づくりや環境を整え、一昨年「第1回ささま国際陶芸フェスティバル」を実施した。その成果を持って、第2回が今年の11月22・23日に笹間で行われた。海外作家のネットワークはすごいもので、陶芸の世界では、「島田市」は知らないが「笹間」を知っている作家もいるという。ドイツなどの専門雑誌に取り上げられたことが大きく、「笹間」で陶芸をしたい陶芸家が多くいるようである。
その中で、今回は、デンマークの陶芸作家ニーナホールさんのアートパフォーマンスが最大の呼び物であり、「陶芸は窯で焼いてできるもの」という既成概念をすっかり変えた。
窯そのものがアート作品であり、その作品ができていくプロセスがアートでもある。
その考え方やプロセスなどは、地域づくりに通ずるもので、自分の視点が変わらないと周りが変わらないことを示している。
地元の何人かは作品作りに協力し、現在、山村都市交流センターの「ほたる窯」の近くに作品がある。
笹間は島田市北部に位置する山村集落。美しい山や川があり、500人弱が居住する。地元経済は、お茶、しいたけなどの農林業で成り立っているが、市街地に30分程度という立地から、一部、兼業で市内へと働きに出かけている人たちもいる。
人口減少、少子高齢化の顕在的な課題、地域の生産物だけでは県内にある類似の農産物や加工品との差別化ができず地域活性が難しいといった課題、歴史や文化を活かしきれないといった課題などを抱えている。
こうした中、金谷の穴窯づくりワークショップで知り合った、陶芸家の道川さんとのつながりが大きかった。彼がもつ海外陶芸家ネットワークは、笹間を舞台にした「ささま国際陶芸フェスティバル」の要でもあり、地域活性化の良い機会でもあるからである。
そのため、地域にアートを取り込んだ「アート イン レジデンス」ができないか、考えていた。
いきなり地元に話をしても難しいので、「見せる化」を行った。道川さんの知人であり水彩画家であるイギリスのアイリーンさんがたまたま日本に来ていたのでお願いをして、地元の人と地域の魅力を探す水彩画ワークショップや、陶芸家神崎さんの陶芸ワークショップを開催した。その後、何人かの作家によるワークショップが行われ、地元の人たちも陶芸に慣れてきて、地域外に少しずつ広がりを見せている。
作家の作品を地域ブランド品として扱う実験も行い、地域にお金が落ちることを体験していただいた。
こうした背景と並行して、旧小学校、旧中学校の廃校利活用の話が持ち上がっていた。
旧小学校は、地元中心で何回かの意見交換ワークショップや食のメニュー作り、農業体験、農家体験、地域歩きなどグリンツーリズムなどを視野に入れた取り組みを行い、宿泊型の山村都市交流センターとして蘇った。現在、都市と山村の交流拠点として機能している。
旧中学校はまだ手つかずだが、「陶芸と木工クラフト」をテーマにした話し合いを継続している。芸術家だけでなく、地域のお年寄りの居場所にもなり、手を使うことで創造性、頭の活性化や生きがいにも繋がるからである。これらについても、木工ワークショップ、地元のNPOや企業組合が竹を使用した体験ワークショップを開催し、外部の人への教え方や交流を楽しんでいる。
こうして、人との関係づくりや環境を整え、一昨年「第1回ささま国際陶芸フェスティバル」を実施した。その成果を持って、第2回が今年の11月22・23日に笹間で行われた。海外作家のネットワークはすごいもので、陶芸の世界では、「島田市」は知らないが「笹間」を知っている作家もいるという。ドイツなどの専門雑誌に取り上げられたことが大きく、「笹間」で陶芸をしたい陶芸家が多くいるようである。
その中で、今回は、デンマークの陶芸作家ニーナホールさんのアートパフォーマンスが最大の呼び物であり、「陶芸は窯で焼いてできるもの」という既成概念をすっかり変えた。
窯そのものがアート作品であり、その作品ができていくプロセスがアートでもある。
その考え方やプロセスなどは、地域づくりに通ずるもので、自分の視点が変わらないと周りが変わらないことを示している。
地元の何人かは作品作りに協力し、現在、山村都市交流センターの「ほたる窯」の近くに作品がある。
◆ニーナホールさんの作品
Posted by 日刊いーしず at 12:00