日刊いーしず『まちの双眼鏡』は静岡のクリエイターブログになりました。
これからは静岡のクリエイターブログで更新いたします。
→http://sogankyo.eshizuoka.jp/
どうぞよろしくお願いいたします。
2015年07月01日
第三十九回 目指せ世界に羽ばたく茶産地・島田市伊久美二俣
島田市の中心市街地から20数キロ上流部左岸に島田市伊久美地区があり、さらにその奥、大井川の支流「伊久美川」沿いに二俣地区がある。古代より、この地区の裏山には「五道の辻」と呼ばれる主要な東西交通路が走っていた。この道は、現在では「東海自然歩道」となっている。
江戸中期、茶娘たちは茶葉を背負って桧峠(島田市と藤枝市の境界)を越えた。そしてこの茶葉は、藤枝を経由し、瀬戸川にある焼津湊から八丁魯の船で、下田、江戸へと流通していったのである。
幕末期から明治期にかけ、茶の輸出が増加していった。輸出茶の荷箱には銘柄や産地を英語で記し日本らしいデザインをあしらった「蘭字」と呼ばれるラベルが貼られ、ブランド戦略がはかられた。輸出量が増す中で、茶産地である伊久美では、茶の品質向上や生産拡大、輸出に伴う業務のために「伊久美銀行」が建てられた。この建物は今も現存し、地区の公会堂として利用されている。こうした背景から、伊久美地区は日本の近代化茶業のビジネス・モデルの礎を築いたともいわれている。
しかし現在では、茶生産者の後継者問題、高齢化・少子化、茶価の低迷、耕作放棄地など、県内の中山間地域がもつさまざまな地域課題をここでも抱えている。
こうした状況を踏まえ、伊久美二俣地区では、往時の「茶の道」を新たな軸とし茶関連をテーマにした海外戦略への挑戦が始まろうとしている。
「茶の道」の概念は、ハード面の整備ではない。新たな長期的視点をもって、次のようなことを目指している。藤枝、焼津、横浜、そしてアメリカにおいて、お茶・茶文化・人財等に関連する広域連携を構築すること。伊久美の茶生産を中心とした商品のブランド化を進めること。6次産業化など持続可能な地域振興策をとること。伊久美茶のある暮らしや、美しい里山のある定住地域として産地のブランド化を進めること。また、将来の後継者や定住者を子どものころから育てる「人育て」も行う。
こうした将来ビジョンを実現化させるには、住民が地域の価値に気づくきっかけ作りから始めることが望ましい。そのように考え、県建築士会中部ブロックまちづくり委員会、NPO法人楽山舎、島田市教育委員会のサタデーオープンスクール、静岡大学、東京農業大学の学生有志等が協働してワークショップを行うことが計画されている。
各組織は、今まで単独での事業を展開していたが、それぞれの良さを活かす活動連携を行い、シナジー効果を高めていこうとするものである。これから始めようとする活動なので、興味のある方には積極的な参加を期待したい。
----
執筆/有限会社都市環境デザイン研究所 木村精治
江戸中期、茶娘たちは茶葉を背負って桧峠(島田市と藤枝市の境界)を越えた。そしてこの茶葉は、藤枝を経由し、瀬戸川にある焼津湊から八丁魯の船で、下田、江戸へと流通していったのである。
幕末期から明治期にかけ、茶の輸出が増加していった。輸出茶の荷箱には銘柄や産地を英語で記し日本らしいデザインをあしらった「蘭字」と呼ばれるラベルが貼られ、ブランド戦略がはかられた。輸出量が増す中で、茶産地である伊久美では、茶の品質向上や生産拡大、輸出に伴う業務のために「伊久美銀行」が建てられた。この建物は今も現存し、地区の公会堂として利用されている。こうした背景から、伊久美地区は日本の近代化茶業のビジネス・モデルの礎を築いたともいわれている。
しかし現在では、茶生産者の後継者問題、高齢化・少子化、茶価の低迷、耕作放棄地など、県内の中山間地域がもつさまざまな地域課題をここでも抱えている。
こうした状況を踏まえ、伊久美二俣地区では、往時の「茶の道」を新たな軸とし茶関連をテーマにした海外戦略への挑戦が始まろうとしている。
「茶の道」の概念は、ハード面の整備ではない。新たな長期的視点をもって、次のようなことを目指している。藤枝、焼津、横浜、そしてアメリカにおいて、お茶・茶文化・人財等に関連する広域連携を構築すること。伊久美の茶生産を中心とした商品のブランド化を進めること。6次産業化など持続可能な地域振興策をとること。伊久美茶のある暮らしや、美しい里山のある定住地域として産地のブランド化を進めること。また、将来の後継者や定住者を子どものころから育てる「人育て」も行う。
こうした将来ビジョンを実現化させるには、住民が地域の価値に気づくきっかけ作りから始めることが望ましい。そのように考え、県建築士会中部ブロックまちづくり委員会、NPO法人楽山舎、島田市教育委員会のサタデーオープンスクール、静岡大学、東京農業大学の学生有志等が協働してワークショップを行うことが計画されている。
各組織は、今まで単独での事業を展開していたが、それぞれの良さを活かす活動連携を行い、シナジー効果を高めていこうとするものである。これから始めようとする活動なので、興味のある方には積極的な参加を期待したい。
子どもたちを育む実施活動(テーマを決めながら実施)
江戸期の茶樹の茶摘み体験
古民家活用したお茶の学習
江戸期の茶樹の茶摘み体験
古民家活用したお茶の学習
----
執筆/有限会社都市環境デザイン研究所 木村精治
Posted by 日刊いーしず at 12:00