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2015年12月16日
第五十回 静岡県景観賞ってなに?
私は建築士会に所属しているにもかかわらず「静岡県景観賞」というものを理解していませんでした。ましてや今年度、地元の牧之原市が優秀賞に選ばれているとは全く知らず、県で発行しているパンフレットを見てびっくりしました。
「静岡県景観賞」
県及び関係団体で構成する「美しいしずおか景観推進協議会」は、県民共通の資産である県土の景観に関する啓発活動により、しずおかの美しさを守り・育て・創ることを目的として創設され、昭和63年度以降「静岡県都市景観賞」により、優れた都市景観を創出している地区等を表彰してきました。平成20年度からは、都市部だけでなく、県土の景観を守り育てるため、賞の名称を「静岡県景観賞」に改め、田園や農山漁村などの幅広い景観にも対象を拡大して実施しております。
(「ふじのくに静岡県公式ホームページ」より引用)
ということですが、よくわかりません。
ちなみに最優秀賞は静岡県草薙総合運動場体育館「このはなアリーナ」でそのほかに4箇所優秀賞を受賞しています。そのひとつに景観づくり活動部門があり、坂口谷川(さかぐちやがわ)環境美化活動が選ばれました。坂口谷川は静岡空港の南側の坂口(さかぐち)という地区から吉田町と旧榛原町の境を流れている川です。
きれいに整備された坂口谷川(カカシ祭りの風景)
この川を美しく守ろうと、84歳になる粂田さんが草刈りを行っています。
粂田さんは定年退職を機に、自分が生まれ育った故郷に何か貢献できないかと考えました。そして、葦やくず、竹などが覆い茂る荒れ果てた川となっていた当時の坂口谷川を憂い、これからの人生を捧げる思いで環境美化活動に取りかかりました。
はじめは一人だけで堤防の雑草を掘り起こし、春になると芝の種を蒔き、来る日も来る日も根気よく芝生の手入れをし続けてきました。日に2~3時間、年間300日を堤防で過ごすという気の遠くなるような作業です。
荒れ果てていた坂口谷川も今では見違えるようにきれいになり、春は菜の花やアジサイが咲き、夏は緑の芝生、秋は三色の彼岸花が咲き誇り、人々の憩いの場所となっています。最近では、自治会を中心とした地域の方も加わり、この景観を活かしたイベントも行われ、みんなから愛される活動として広がりを見せています。
ふるさとの川に、美しい景観と子供たちの自然の遊び場を取り戻そう、との一念で20数年続けられてきた活動に敬意を表するとともに、地域の景観は地域で守る景観保全の原点とも言える活動が評価されました。
この川での活動は他にもあり、ちょうど10年前、牧之原市が相良町・榛原町と合併したときのこと。榛南ライオンズクラブが、35周年記念に土手へ河津桜を植樹しました。2月の終わりごろには桜が満開で地元の名物にもなっています。
満開の河津桜 (2月の終わりころ)
榛南ライオンズさくら並木 (先日撮影)
榛南ライオンズクラブのメンバー。草刈、清掃をしています
まちづくりは、継続は力なりと言うようにほんの小さなひと握りから始まって、だんだん大きな力となっていくと思います。粂田さんのような、自分たちのまちのための活動を見て、小さな子どもたちもきっと、誇りに感じてくれていると思います。
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執筆/サギサカ設計事務所 鷺坂雄二
「静岡県景観賞」
県及び関係団体で構成する「美しいしずおか景観推進協議会」は、県民共通の資産である県土の景観に関する啓発活動により、しずおかの美しさを守り・育て・創ることを目的として創設され、昭和63年度以降「静岡県都市景観賞」により、優れた都市景観を創出している地区等を表彰してきました。平成20年度からは、都市部だけでなく、県土の景観を守り育てるため、賞の名称を「静岡県景観賞」に改め、田園や農山漁村などの幅広い景観にも対象を拡大して実施しております。
(「ふじのくに静岡県公式ホームページ」より引用)
ということですが、よくわかりません。
ちなみに最優秀賞は静岡県草薙総合運動場体育館「このはなアリーナ」でそのほかに4箇所優秀賞を受賞しています。そのひとつに景観づくり活動部門があり、坂口谷川(さかぐちやがわ)環境美化活動が選ばれました。坂口谷川は静岡空港の南側の坂口(さかぐち)という地区から吉田町と旧榛原町の境を流れている川です。
きれいに整備された坂口谷川(カカシ祭りの風景)
この川を美しく守ろうと、84歳になる粂田さんが草刈りを行っています。
粂田さんは定年退職を機に、自分が生まれ育った故郷に何か貢献できないかと考えました。そして、葦やくず、竹などが覆い茂る荒れ果てた川となっていた当時の坂口谷川を憂い、これからの人生を捧げる思いで環境美化活動に取りかかりました。
はじめは一人だけで堤防の雑草を掘り起こし、春になると芝の種を蒔き、来る日も来る日も根気よく芝生の手入れをし続けてきました。日に2~3時間、年間300日を堤防で過ごすという気の遠くなるような作業です。
荒れ果てていた坂口谷川も今では見違えるようにきれいになり、春は菜の花やアジサイが咲き、夏は緑の芝生、秋は三色の彼岸花が咲き誇り、人々の憩いの場所となっています。最近では、自治会を中心とした地域の方も加わり、この景観を活かしたイベントも行われ、みんなから愛される活動として広がりを見せています。
ふるさとの川に、美しい景観と子供たちの自然の遊び場を取り戻そう、との一念で20数年続けられてきた活動に敬意を表するとともに、地域の景観は地域で守る景観保全の原点とも言える活動が評価されました。
この川での活動は他にもあり、ちょうど10年前、牧之原市が相良町・榛原町と合併したときのこと。榛南ライオンズクラブが、35周年記念に土手へ河津桜を植樹しました。2月の終わりごろには桜が満開で地元の名物にもなっています。
満開の河津桜 (2月の終わりころ)
榛南ライオンズさくら並木 (先日撮影)
榛南ライオンズクラブのメンバー。草刈、清掃をしています
まちづくりは、継続は力なりと言うようにほんの小さなひと握りから始まって、だんだん大きな力となっていくと思います。粂田さんのような、自分たちのまちのための活動を見て、小さな子どもたちもきっと、誇りに感じてくれていると思います。
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執筆/サギサカ設計事務所 鷺坂雄二
Posted by 日刊いーしず at 12:00