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2014年07月25日
第十八回 水上バスに乗ってみた
「まち」を構成する要素には、建築物を始めとする構造物があり、一方でそれらをつなげる交通機関、移動手段があります。
移動手段には、自動車、自転車、バイク、徒歩といった個的な移動手段と、バス、電車、タクシー、飛行機といった公共交通機関があります。それらの良いところをうまく組み合わせて、効率よく、快適に移動できる街をつくるべきだと思います。他の移動手段として船があります。
静岡市に公共交通機関として船が存在するのを、私はつい最近まで知りませんでした。お仕事で知り合ったお客様との雑談の中で、清水に「水上バス」という、船を使用した交通手段があると聞いたのは1か月ほど前のことです。
7月21日(月)は海の日でした。そこで、海の日らしく、三保に海水浴に行くことにしました。今回はあえて自動車を使わず、公共交通機関のみで向かうことにしました。
私の自宅は静岡鉄道沿線にあります。静岡鉄道に乗って清水方向へ。草薙駅でJR東海道線に乗り換えて、清水駅へ。ここで水上バスの出番です。
清水駅を降りて、海の方向へ歩いて向かいますが、水上バスの乗り場がどこだかわかりません。どこにもそれらしき看板もないし・・・。清水魚市場の建物の前に行き、警備員さんに尋ねたところ、水上バスの乗り場はこの建物の海側とのこと。
建物の合間から海側に出たら、ありました! 水上バス乗り場。
どうやって乗るのかもわからないので、看板を見てみると・・・
券売機でチケットを買うようです。券売機は清水魚市場の建物の中にありました。
券売機の説明書きによると、午前中の早い時間は料金が半額の200円になるとのこと。その場合は、券売機でチケットを買うのではなく、乗船時に直接料金を支払うそうです。
しばらく待つと、水上バスがやってきました。フェルケル号です。
料金を支払って乗り込みます。
座席は3列シートが通路を挟んで左右にあり、それが7セット、計42席。内装は少し時代を感じさせます。
この出発地「江尻」では10人ほどが乗り込みました。
出発すると、いつもと違った景色が広がります。岸壁の釣り人、大きなクレーンや工場群、海に浮かぶヨットや小型船、貨物を載せる大きな船。窓からは爽やかな風が入ってきて、とても気持ちが良いです。船なので波による揺れがあるのですが、この日は風も穏やかで、船酔いするような揺れは感じられませんでした。
まず着いたのは「日の出」。エスパルスドリームプラザに隣接した船着場です。ここで25人ほどが乗りこんできて、空き席が少なくなりました。エスパルスドリームプラザは何も予定のない休日を過ごすために自動車で行くことがありますが、今日はいつもと反対側から観覧車を始めとする施設を見ています。遊覧船も停泊していました。
その後、三保に向かいます。天気が良ければ、富士山が見えるようですが、この日は残念ながら曇りで見えませんでした。船の旅はおよそ25分。移動している間も楽しいひとときです。三保海水浴場の船着場は海水浴場そのものに到着します。
海の家も目の前。早速、着替えて数十年ぶりの海水浴を楽しみました。
水上バスには初めて乗ったのですが、思ったよりも快適だし、何よりも「船に乗る」という非日常感を味わえるのがとても良かったです。
この水上バスは、自転車を載せることができたり、バスとの組み合わせチケットがあったりして、他の交通機関との連携も試みています。とても面白い乗り物なので、たくさんの人に体験してもらいたいと思います。ただ、JR清水駅からの経路をもっと判りやすく表示してほしいとは思いました。
株式会社 片桐工務店 片桐秀夫
Posted by 日刊いーしず at 12:00
2014年07月11日
第十七回 「まちづくりスト」になろう
「まちづくり活動」をしている人を、「まちづくりスト」と勝手に名付けます。
単に「まちづくり活動」というと、大げさな活動に聞こえて、敷居が高いイメージがあるかもしれません。しかし、初めての人に自己紹介をする時に、ほとんどの場合、出身地や生まれ育ったまち、勤務地周辺などの説明をすると思います。それこそが、無意識に行っている「まちづくり活動」なのだと思います。
そこで私も、「まちづくりスト」になるため、生まれ育った地元「焼津」の魅力をいくつか紹介します。
焼津には『浜通り(北浜通・城之腰・鰯ヶ島)』と呼ばれる地域があります。
浜通りは、新焼津港の西側に位置し、駿河湾沿岸に沿って1・5キロほどの細長い家並みが南北に続いています。 焼津の原点とも言える地域で、今もなお、水産加工のまちとして、蒲鉾やなると巻きなどの練り物製造や、なまり節や鰹節といった節類製造などが盛んに行われています。

浜通りの家並み
この地域の住宅の特徴として、東西に細長い町屋形式で、表から裏まで「ニワ」と呼ばれる通し土間が続いています。今でもそういった水産加工業の機能を持った家が残っています。その中の一軒の「ぬかや 斉藤商店」は、1・2Fで魚河岸シャツを販売しているため、中を拝見することが出来ます。近くに寄った際には、是非足を運んで頂き、浜通りの住まいを味わってみてください。

通し土間が加工場(裏)へと続く【ぬかや 斉藤商店】
また、浜通りから西の小路を抜けると、黒石川(堀川)が流れており、水面との距離が近いため、水面に川沿いの町並みが映し出され、情緒ある風景を楽しむことが出来ます。夕焼けを背景に黒石川沿いを眺めていると、ノスタルジックな雰囲気を味わうことが出来ます。

黒石川(堀川)の情緒あふれる風景
焼津の町の活性化、焼津発祥の町「浜通り界隈」の町並、歴史、心意気を後世に引き継ぎたいという熱い気持ちから、浜通りの住民が中心となり、2007年「NPO法人 浜の会」が立ち上がりました。
NPO浜の会は、もっと浜通りの良さを皆に知ってもらうため、「きて・みて・やいづ、浜通り」 ご案内マップを製作しています。
これは、浜通りを中心にしたまちの俯瞰図を、手書きで詳細に描き、地図には名所を写真や説明が散りばめられています。建築家も平伏すような、この素晴らしい俯瞰図を片手に、浜通りを一度まち歩きしてみることをお勧めします。マップは、カネオト石橋商店HP(こちら)よりダウンロードできます(下のマップをクリックするとダウンロードページが開きます)。
そんなまちづくりに熱心な「浜の会」が主催し、今年で7回目となる恒例のイベント「浜通り夏のあかり展」が8月1日から8月3日まで開催されます。行燈による浜通りの、幻想的風景をお楽しみください。
詳しくは、浜の会HP(こちら)をご確認ください。

行燈が浜通り沿いに幻想的に並ぶ【昨年の様子(執筆者撮影)】

家がギャラリーに変身【昨年の様子(執筆者撮影)】

土間で金魚すくい【昨年の様子(執筆者撮影)】
紹介したNPO浜の会の方々は、とても熱心なまちづくり活動をしている、焼津の誇れる「まちづくりスト達」です。
また、このブログを観て、一人でも多くの方に、浜通りを知って頂き、「焼津にはそんな面白そうなまちもあるんだ」と一瞬でも思っていただければ、それこそが一人で出来る小さな「まちづくり活動」であり、私も「まちづくりスト」なのだと思います。
地元の魅力は、何も建物・街並みだけ語られるものではありません。特産物・名物、有名人・職人、気候・風土、景色、おいしいパン屋、おしゃれな雑貨屋…そのまちに存在するもので、自分が話す相手にその良さを伝えたいと思うものなら何でもアリだと思います。
したがって皆さんも、自己紹介する際に、地元や勤務先周辺などのまちの魅力を一つでも言えれば、それだけで立派な「まちづくりスト」になれるのです。
執筆者/小林修一級建築設計事務所 小林拓人
単に「まちづくり活動」というと、大げさな活動に聞こえて、敷居が高いイメージがあるかもしれません。しかし、初めての人に自己紹介をする時に、ほとんどの場合、出身地や生まれ育ったまち、勤務地周辺などの説明をすると思います。それこそが、無意識に行っている「まちづくり活動」なのだと思います。
そこで私も、「まちづくりスト」になるため、生まれ育った地元「焼津」の魅力をいくつか紹介します。
焼津には『浜通り(北浜通・城之腰・鰯ヶ島)』と呼ばれる地域があります。
浜通りは、新焼津港の西側に位置し、駿河湾沿岸に沿って1・5キロほどの細長い家並みが南北に続いています。 焼津の原点とも言える地域で、今もなお、水産加工のまちとして、蒲鉾やなると巻きなどの練り物製造や、なまり節や鰹節といった節類製造などが盛んに行われています。

浜通りの家並み
この地域の住宅の特徴として、東西に細長い町屋形式で、表から裏まで「ニワ」と呼ばれる通し土間が続いています。今でもそういった水産加工業の機能を持った家が残っています。その中の一軒の「ぬかや 斉藤商店」は、1・2Fで魚河岸シャツを販売しているため、中を拝見することが出来ます。近くに寄った際には、是非足を運んで頂き、浜通りの住まいを味わってみてください。

通し土間が加工場(裏)へと続く【ぬかや 斉藤商店】
また、浜通りから西の小路を抜けると、黒石川(堀川)が流れており、水面との距離が近いため、水面に川沿いの町並みが映し出され、情緒ある風景を楽しむことが出来ます。夕焼けを背景に黒石川沿いを眺めていると、ノスタルジックな雰囲気を味わうことが出来ます。
黒石川(堀川)の情緒あふれる風景
焼津の町の活性化、焼津発祥の町「浜通り界隈」の町並、歴史、心意気を後世に引き継ぎたいという熱い気持ちから、浜通りの住民が中心となり、2007年「NPO法人 浜の会」が立ち上がりました。
NPO浜の会は、もっと浜通りの良さを皆に知ってもらうため、「きて・みて・やいづ、浜通り」 ご案内マップを製作しています。
これは、浜通りを中心にしたまちの俯瞰図を、手書きで詳細に描き、地図には名所を写真や説明が散りばめられています。建築家も平伏すような、この素晴らしい俯瞰図を片手に、浜通りを一度まち歩きしてみることをお勧めします。マップは、カネオト石橋商店HP(こちら)よりダウンロードできます(下のマップをクリックするとダウンロードページが開きます)。
そんなまちづくりに熱心な「浜の会」が主催し、今年で7回目となる恒例のイベント「浜通り夏のあかり展」が8月1日から8月3日まで開催されます。行燈による浜通りの、幻想的風景をお楽しみください。
詳しくは、浜の会HP(こちら)をご確認ください。

行燈が浜通り沿いに幻想的に並ぶ【昨年の様子(執筆者撮影)】

家がギャラリーに変身【昨年の様子(執筆者撮影)】

土間で金魚すくい【昨年の様子(執筆者撮影)】
紹介したNPO浜の会の方々は、とても熱心なまちづくり活動をしている、焼津の誇れる「まちづくりスト達」です。
また、このブログを観て、一人でも多くの方に、浜通りを知って頂き、「焼津にはそんな面白そうなまちもあるんだ」と一瞬でも思っていただければ、それこそが一人で出来る小さな「まちづくり活動」であり、私も「まちづくりスト」なのだと思います。
地元の魅力は、何も建物・街並みだけ語られるものではありません。特産物・名物、有名人・職人、気候・風土、景色、おいしいパン屋、おしゃれな雑貨屋…そのまちに存在するもので、自分が話す相手にその良さを伝えたいと思うものなら何でもアリだと思います。
したがって皆さんも、自己紹介する際に、地元や勤務先周辺などのまちの魅力を一つでも言えれば、それだけで立派な「まちづくりスト」になれるのです。
執筆者/小林修一級建築設計事務所 小林拓人
Posted by 日刊いーしず at 12:00