日刊いーしず『まちの双眼鏡』は静岡のクリエイターブログになりました。

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2013年10月23日
第三回 くらにくらくら
清水湊の風情を上手く残して活かしていけないか...、そんな想いから有志が集まり「しみず蔵倶楽部」が結成されました。蔵を巡る活動を始めて今年で4年目になります。

私たちが蔵に着目した理由は明快です。港橋界隈に点在していて、貿易港としての清水の発展を考える上で欠かせない存在だからです。そして何と言っても味わいのある愛らしいその佇まいに惚れ込んでしまったから...。ですがその存在は意外と一般には知られてはいません。たいていは敷地の奥まった場所など、意識しないと視界に入り難い場所に静かに建っているからです。逆に少し意識して見てみると、たくさんの蔵を見つけることができるから面白い。
清水の港橋界隈で多く見られる蔵は木骨石造と呼ばれる形式で、骨組みは木造で外壁材として伊豆石が用いられています。店蔵、文書蔵、米蔵、味噌醤油蔵、座敷蔵、質蔵、と用途は様々で時代と共に変化してきました。しみず蔵倶楽部では、分布の調査、実測調査、ヒアリングなどを通して、実態の調査を行っています。

蔵は全国各地に多数存在していますが、その使われ方、姿形、材料、歴史的背景や意味合いなどには強い地域性があります。たとえば同じ東海道筋には伊豆石の蔵がよく見られます。石材の流通も含めた視点で蔵を捉えると、また興味深い展開になりそうです。他の地域との共通点や違いを探っていくことで、また清水の姿が見えてくるでしょう。
今年の3月には、蔵マップ「清水港町界隈 蔵散策地図」を発行しました(※現在配布中止中)。制作の際、蔵の分布を伝えること以上に意識したのは、マップを手に歩くことで巴川や志ミづ道などとの関連を感じられるようにすること。まちのストーリーを繋ぐ媒体として、蔵が活きてくるのではないかと期待しています。
ほんの少しだけ見方を変えることで、地域の魅力が浮き上がってくる。そんな活動を、これから更に深めていきたいものです。
執筆者/杉山智之建築事務所 杉山 智之
ホームページ/http://stada.jp/
Facebook/http://www.facebook.com/tomoyuki.sugiyama.54

私たちが蔵に着目した理由は明快です。港橋界隈に点在していて、貿易港としての清水の発展を考える上で欠かせない存在だからです。そして何と言っても味わいのある愛らしいその佇まいに惚れ込んでしまったから...。ですがその存在は意外と一般には知られてはいません。たいていは敷地の奥まった場所など、意識しないと視界に入り難い場所に静かに建っているからです。逆に少し意識して見てみると、たくさんの蔵を見つけることができるから面白い。
清水の港橋界隈で多く見られる蔵は木骨石造と呼ばれる形式で、骨組みは木造で外壁材として伊豆石が用いられています。店蔵、文書蔵、米蔵、味噌醤油蔵、座敷蔵、質蔵、と用途は様々で時代と共に変化してきました。しみず蔵倶楽部では、分布の調査、実測調査、ヒアリングなどを通して、実態の調査を行っています。

蔵は全国各地に多数存在していますが、その使われ方、姿形、材料、歴史的背景や意味合いなどには強い地域性があります。たとえば同じ東海道筋には伊豆石の蔵がよく見られます。石材の流通も含めた視点で蔵を捉えると、また興味深い展開になりそうです。他の地域との共通点や違いを探っていくことで、また清水の姿が見えてくるでしょう。
今年の3月には、蔵マップ「清水港町界隈 蔵散策地図」を発行しました(※現在配布中止中)。制作の際、蔵の分布を伝えること以上に意識したのは、マップを手に歩くことで巴川や志ミづ道などとの関連を感じられるようにすること。まちのストーリーを繋ぐ媒体として、蔵が活きてくるのではないかと期待しています。
ほんの少しだけ見方を変えることで、地域の魅力が浮き上がってくる。そんな活動を、これから更に深めていきたいものです。
執筆者/杉山智之建築事務所 杉山 智之
ホームページ/http://stada.jp/
Facebook/http://www.facebook.com/tomoyuki.sugiyama.54
Posted by 日刊いーしず at 12:00
2013年10月09日
第二回 旧マッケンジー邸を知っていますか?
静岡市には様々な建物があります。
その中には「良い」と感じられるものがあります。
それは建物の機能やデザイン性に優れていて、他の建築物とは違った個性を持っていたりします。
建物の良さは、建物の新しさ、古さとは、あまり関連が無く、古い建物でも良いものは良いし、新しい建物の中にも良いものがあります。
古い建物で「良い」と認められたものは「登録文化財」となり、保護される対象となります。そして年月が経つにしたがって価値が大きくなっていきます。
静岡市内にもいくつかの登録文化財がありますが、その中の一つに「旧マッケンジー邸」があります。

旧マッケンジー邸は現在、静岡市の所有となっています(建物の概要については、静岡市のホームページに記述があります)。
旧マッケンジー邸はウィリアム・メレル・ヴォーリズ(以下、「ヴォーリズ」と略)というアメリカ出身の建築家によって設計されました。
ヴォーリズが設計した建物は日本各地にあり、静岡市内にもヴォーリズ設計の建物がいくつかありました。
しかし、静岡市内に現存するのはこの旧マッケンジー邸を含め、3棟ほどのようです。
ヴォーリズが活動の拠点としたのは、滋賀県の近江八幡市です。
近江八幡にはヴォーリス設計の建物が多く現存しており、その中の一つに八幡郵便局があります。
この郵便局は、一時、管理する人がいなくなり、雨漏れがひどく、廃墟のようになってしまったそうです。
しかし、建物の本質的な部分で「良い建物」と感じられる部分が多くあり、地元の有志により保存再生運動が始まりました。
この運動をする団体が「一粒の会」です。
建築士会のメンバー数人で、2年ほど前に近江八幡を訪れたことがあります。

この時に、八幡郵便局で説明をしてくれたのが一粒の会の石井和浩さんでした。
石井さんの話は多岐にわたり、ヴォーリズの人柄や、近江八幡での様子、ヴォーリズ設計の建物の特徴、また、八幡郵便局の再生への道のりの話など、我々の興味を引いて止まないものでした。
このたび、静岡県建築士会中部ブロックまちづくり委員会では、2013年10月26日(土)に石井和浩さんを静岡に招いて、旧マッケンジー邸で講演会を行うことになりました。
ヴォーリズとヴォーリズ建築について興味のある人には必聴の内容です。
旧マッケンジー邸が、なぜ「価値のある建物」として存在しているのかが良く判ると思います。
会場の都合上、定員があります。事前申込が必要で、定員をオーバーした場合は抽選となりますので、予めご了承ください。
また、この講演会を挟んだ2013年10月23日(水)~11月4日(月)には「ヴォーリズさんの設計室展」も同会場にて開催されます。 (Facebookページはこちら)
これはヴォーリズ建築について研究している神谷悠実さんと指原豊さん制作のパネルを展示するものです。
私もこのパネルを拝見させていただきましたが、見ごたえ充分、とても秀逸なものです。
ヴォーリズの建築物に対する考え方と、それをどのように実際の建物の設計に反映させるかが、非常に判りやすく書かれています。
こちらは2週間ほどの間、自由に見ることができますので、ぜひ、ご覧になってください。
講演会、パネル展共に、詳しいご案内は、静岡県建築士会のホームページ(こちら)に掲載されています。
皆様のお越しをお待ちしております。
執筆者/片桐工務店 片桐秀夫(ホームページ)
その中には「良い」と感じられるものがあります。
それは建物の機能やデザイン性に優れていて、他の建築物とは違った個性を持っていたりします。
建物の良さは、建物の新しさ、古さとは、あまり関連が無く、古い建物でも良いものは良いし、新しい建物の中にも良いものがあります。
古い建物で「良い」と認められたものは「登録文化財」となり、保護される対象となります。そして年月が経つにしたがって価値が大きくなっていきます。
静岡市内にもいくつかの登録文化財がありますが、その中の一つに「旧マッケンジー邸」があります。

旧マッケンジー邸は現在、静岡市の所有となっています(建物の概要については、静岡市のホームページに記述があります)。
旧マッケンジー邸はウィリアム・メレル・ヴォーリズ(以下、「ヴォーリズ」と略)というアメリカ出身の建築家によって設計されました。
ヴォーリズが設計した建物は日本各地にあり、静岡市内にもヴォーリズ設計の建物がいくつかありました。
しかし、静岡市内に現存するのはこの旧マッケンジー邸を含め、3棟ほどのようです。
ヴォーリズが活動の拠点としたのは、滋賀県の近江八幡市です。
近江八幡にはヴォーリス設計の建物が多く現存しており、その中の一つに八幡郵便局があります。
この郵便局は、一時、管理する人がいなくなり、雨漏れがひどく、廃墟のようになってしまったそうです。
しかし、建物の本質的な部分で「良い建物」と感じられる部分が多くあり、地元の有志により保存再生運動が始まりました。
この運動をする団体が「一粒の会」です。
建築士会のメンバー数人で、2年ほど前に近江八幡を訪れたことがあります。

この時に、八幡郵便局で説明をしてくれたのが一粒の会の石井和浩さんでした。
石井さんの話は多岐にわたり、ヴォーリズの人柄や、近江八幡での様子、ヴォーリズ設計の建物の特徴、また、八幡郵便局の再生への道のりの話など、我々の興味を引いて止まないものでした。
このたび、静岡県建築士会中部ブロックまちづくり委員会では、2013年10月26日(土)に石井和浩さんを静岡に招いて、旧マッケンジー邸で講演会を行うことになりました。
ヴォーリズとヴォーリズ建築について興味のある人には必聴の内容です。
旧マッケンジー邸が、なぜ「価値のある建物」として存在しているのかが良く判ると思います。
会場の都合上、定員があります。事前申込が必要で、定員をオーバーした場合は抽選となりますので、予めご了承ください。
また、この講演会を挟んだ2013年10月23日(水)~11月4日(月)には「ヴォーリズさんの設計室展」も同会場にて開催されます。 (Facebookページはこちら)
これはヴォーリズ建築について研究している神谷悠実さんと指原豊さん制作のパネルを展示するものです。
私もこのパネルを拝見させていただきましたが、見ごたえ充分、とても秀逸なものです。
ヴォーリズの建築物に対する考え方と、それをどのように実際の建物の設計に反映させるかが、非常に判りやすく書かれています。
こちらは2週間ほどの間、自由に見ることができますので、ぜひ、ご覧になってください。
講演会、パネル展共に、詳しいご案内は、静岡県建築士会のホームページ(こちら)に掲載されています。
皆様のお越しをお待ちしております。
執筆者/片桐工務店 片桐秀夫(ホームページ)
Posted by 日刊いーしず at 12:00