中村與資平（なかむら よしへい）は明治13年に現在の浜松市東区天王町に生まれた建築家です。中村與資平と言われてもピンとこない方は多いと思います。みなさんもきっと見たことがある、静岡県庁、旧静岡市役所、静岡銀行本店は中村與資平の設計による建物です。特に旧静岡市役所のドームはとても美しく造られています。


旧静岡市役所ドーム



　このドームはスペイン風にデザインされています。当時、ルネサンス式はもう飽きられている、と考えられたのかスペイン風で造られました。静岡の街中にこのような美しい建物があるのはとても素晴らしいことです。これは、中村與資平の先見の目があったからではないでしょうか。
　旧静岡市役所の近くに行ったらぜひ空を見上げてみてください。素敵なドームがそこにあります。おすすめは旧市役所西側の通りから見上げる位置です。青い空にドームが映えています。


静岡県庁



　この建物は静岡県庁です。お堀の中にあります。市役所に比べると訪れる機会は少ないでしょうか。七間町から駿府公園にまっすぐ向かった正面にあります。この建物は現在でいう設計コンペが行われ、神奈川の建築家が優勝したそうです。その実施設計を中村與資平が行った建物です。


静岡銀行本店



　この建物は静岡銀行本店です。中村與資平は県内の多くの銀行建築を手掛けています。ですから、銀行建築には似ているものが多いそうです。この建物はギリシャの神殿風で正面にはドリス式の柱をデザインしています。同じ静岡銀行でも、浜松支店の柱はイオニア式となっています。

　これらの建物は現在でも利用されています。今回は外観の写真を紹介しましたが、内観のデザインもとても素晴らしいものばかりです。近くに出かけられた際にはぜひ立ち寄ってみてください。最近の建物には見られないゴージャスでノスタルジックな懐かしい空間を感じることが出来ると思います。

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執筆／
カメヤマ建築デザイン　亀山靖生