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2014年10月31日
第二十四回 暮らしながら保存する
約一年前まで静岡県に存在するヴォーリズ建築は駿河区の高松にある旧マッケンジー邸だけだった。僕たちの所属する静岡県建築士会が旧マッケンジー邸での講演会の企画検討を重ねていた時に、もう一つヴォーリズ建築が存在するという情報が飛び込んできた。それが今回紹介する『旧英和女学院宣教師館』である。

この建物は1950年(昭和25年)に外国人教師のための寄宿舎として建てられた。設計はその十数年前に行われていた様である。設計されてから建てられるまでの空白の期間に何があったのかわからない。設計されてすぐに建てられていたら、1945年(昭和20年)の静岡大空襲で失われていたのかもしれない。
この建物は確かにヴォーリズが手掛けた建築であるが、なぜ今まで知られて来なかったのだろうか。この建物の存在が明らかになるまでは静岡県内に現存するヴォーリズ建築は旧マッケンジー邸だけだった。しかし、この建物の魅力に惹かれこの建物を気にかけていた人たちの努力の末、この建物がヴォーリズの設計によって建てられた『旧英和女学院宣教師館』であることが判明した。ヴォーリズの建築が見直されてきていながらも建物の老築化の為に取り壊される建物が増えているなかとても貴重な建物の発見であると思う。
そして今『旧英和女学院宣教師館 ミス・カニンハム』として新しい灯がともされた。そして~暮らしながら保存~をテーマに旧英和女学院宣教師館に住みながら保存し、多くの人に利用してもらい、旧英和女学院宣教師館とヴォーリズを知ってもらう為に日々奔走している。日本に現存しているヴォーリズ建築で実際にそこで生活をしている建物はとても数少ないのではないかと思われる。昨今の建物事情からすると決して快適な生活ができる建物ではないが、新しい建物では感じられないような充実感があるのではないかと思う。人のために設計されたヴォーリズ建築と時間というスパイスが加わっているのだから。

今年はヴォーリズ没50年にあたる。ヴォーリズの拠点であった近江八幡をはじめ各地で記念のイベントが行われている。静岡でもイベントが開催されているのでぜひこの機会にヴォーリズ建築に触れてみてほしい。
9月27日~11月24日
旧マッケンジー邸にて 「住む人の心に寄り添う建築 ヴォーリズの洋館たち」
◆静岡市 旧マッケンジー住宅のページを見る
11月23日には旧マッケンジー邸にて講師を招いての講演会も予定されています。
また、『旧英和女学院宣教師館 ミス・カニンハム』ではさまざまなイベントが随時開催されている、またレストランとしての利用やサロンスペースとしても利用できるので、ヴォーリズさんの設計した空間で楽しんでみてはどうだろうか。
『旧英和女学院宣教師館 ミス・カニンハム』 (ホームページはこちら)
そして、そのヴォーリズ建築を通して出会った数人の仲間がヴォーリズ建築の研究を始めた。かつて静岡県内に二十数棟のヴォーリズ建築があったらしい。一年前までは旧マッケンジー邸だけだったのが、二棟、三棟とその影を見せ始めた。ヴォーリズさんからの贈り物かもしれない。
執筆者 亀山靖生(カメヤマ建築デザイン)
http://www.turtles.jp/

この建物は1950年(昭和25年)に外国人教師のための寄宿舎として建てられた。設計はその十数年前に行われていた様である。設計されてから建てられるまでの空白の期間に何があったのかわからない。設計されてすぐに建てられていたら、1945年(昭和20年)の静岡大空襲で失われていたのかもしれない。
この建物は確かにヴォーリズが手掛けた建築であるが、なぜ今まで知られて来なかったのだろうか。この建物の存在が明らかになるまでは静岡県内に現存するヴォーリズ建築は旧マッケンジー邸だけだった。しかし、この建物の魅力に惹かれこの建物を気にかけていた人たちの努力の末、この建物がヴォーリズの設計によって建てられた『旧英和女学院宣教師館』であることが判明した。ヴォーリズの建築が見直されてきていながらも建物の老築化の為に取り壊される建物が増えているなかとても貴重な建物の発見であると思う。
そして今『旧英和女学院宣教師館 ミス・カニンハム』として新しい灯がともされた。そして~暮らしながら保存~をテーマに旧英和女学院宣教師館に住みながら保存し、多くの人に利用してもらい、旧英和女学院宣教師館とヴォーリズを知ってもらう為に日々奔走している。日本に現存しているヴォーリズ建築で実際にそこで生活をしている建物はとても数少ないのではないかと思われる。昨今の建物事情からすると決して快適な生活ができる建物ではないが、新しい建物では感じられないような充実感があるのではないかと思う。人のために設計されたヴォーリズ建築と時間というスパイスが加わっているのだから。

今年はヴォーリズ没50年にあたる。ヴォーリズの拠点であった近江八幡をはじめ各地で記念のイベントが行われている。静岡でもイベントが開催されているのでぜひこの機会にヴォーリズ建築に触れてみてほしい。
9月27日~11月24日
旧マッケンジー邸にて 「住む人の心に寄り添う建築 ヴォーリズの洋館たち」
◆静岡市 旧マッケンジー住宅のページを見る
11月23日には旧マッケンジー邸にて講師を招いての講演会も予定されています。
また、『旧英和女学院宣教師館 ミス・カニンハム』ではさまざまなイベントが随時開催されている、またレストランとしての利用やサロンスペースとしても利用できるので、ヴォーリズさんの設計した空間で楽しんでみてはどうだろうか。
『旧英和女学院宣教師館 ミス・カニンハム』 (ホームページはこちら)
そして、そのヴォーリズ建築を通して出会った数人の仲間がヴォーリズ建築の研究を始めた。かつて静岡県内に二十数棟のヴォーリズ建築があったらしい。一年前までは旧マッケンジー邸だけだったのが、二棟、三棟とその影を見せ始めた。ヴォーリズさんからの贈り物かもしれない。
執筆者 亀山靖生(カメヤマ建築デザイン)
http://www.turtles.jp/
Posted by 日刊いーしず at 12:00